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減速機の種類

このページでは減速機の種類について記載しています

・軸配置による種別

・減速機構による種別

ストーバーの減速機についてはこちらのページ

 軸配置による種別:入力軸と出力軸の関係

同軸

説明
入力軸と出力軸が一直線上に配置される構造です。遊星歯車減速機や同軸型ヘリカル減速機がこれに該当します。

特長
トルク伝達効率が高く、コンパクトで高性能な設計が可能です。精度が高く、バックラッシュを最小限に抑えることができます。

直交軸

説明

入力軸と出力軸が直角(90度)に交わる配置を持つ構造です。ウォーム減速機や直交軸歯車減速機が代表例です。
特長
コンパクトな設計が可能で、スペースが限られた場所に適しています。また、ウォームギアを採用した場合は、自己ロック機能を備える場合があります。
コンベアシステムやリフト装置など、回転方向の変化が必要な機器で使用されます。

平行軸

説明
入力軸と出力軸が平行に配置される構造です。ヘリカルギアやスパーギアを使用した減速機が一般的です。
特長
構造が比較的簡単で、効率の良い動力伝達が可能です。高い負荷能力を持ち、耐久性に優れています。
装置設計上、入力軸と出力軸を同一に出来ない場合に多く用いられます。

 減速機構による種別

遊星歯車減速機

遊星歯車減速機は、コンパクトながら高いトルク伝達能力を持ち、効率的な動力伝達を実現する歯車構造の一つです。この機構は、太陽の周りを回る惑星の動きに似ていることが、その名の由来です。


<遊星歯車減速機の構造>

遊星歯車減速機構は、主に以下の3つの要素で構成されます

サンギア(太陽歯車)

中心に配置される歯車で、入力軸に接続され動力を伝達します。

プラネタリギア(遊星歯車)

サンギアの周囲を回転しつつ自転する複数の歯車です。キャリア(アーム)に取り付けられており、動力を分散して出力軸に伝達します。

リングギア(内歯車)

外側に位置する内歯歯車で、プラネタリギアと噛み合います。

<特長>

高いトルク伝達能力

動力が複数のプラネタリギアに分散されるため、大きなトルクを効率的に伝達できます。

コンパクトな設計

中央集約型の構造のため、小型化が容易で、スペースが限られた設置場所に適しています。

高効率と長寿命

歯車同士の接触面積が広く、摩耗が少ないため、長寿命で高効率な動力伝達が可能です。

多段減速が可能

入力軸・出力軸・リングギアの組み合わせによって、様々な減速比を得ることができます。

ベベル減速機

ベベル減速機は、入力軸と出力軸の位置を直交(90度)させることができる減速機です。歯車としてベベルギア(傘歯車)を使用することで、動力の方向転換を効率的に行います。直交する軸構造が特徴で、さまざまな産業機械や装置で広く採用されています。


<ベベル減速機の構造>

ベベル減速機は以下の主要な部品で構成されます

ベベルギア(傘歯車)

円錐形状の歯車で、入力軸と出力軸が直交するように動力を伝達します。歯の形状には、直歯(ストレート)と斜歯(スパイラル)の2種類があります。

入力軸

動力源(モーターなど)から動力を受け取る軸です。

出力軸

動力を目的の機械や装置に伝える軸です。

<特長>

軸方向の変更
入力軸と出力軸を直交させることで、動力の方向を効率的に転換します。
高トルク伝達
ベベルギアの特性により、高いトルク伝達性能を実現します。
コンパクトな設計
省スペース設計が可能で、設置場所が限られる環境に適しています。

ウオーム減速機

ウォーム減速機(Worm Gear Reducer)は、ウォーム(ねじ状の軸)とウォームホイール(円形の歯車)を組み合わせて動力を伝達・減速する機構です。入力軸と出力軸が直交(90度)する構造を持ち、コンパクトな設計と滑らかな動作が特徴です。また、自己ロック機能を備えている場合が多く、安全性が求められる装置にも広く使用されています。


<ウオーム減速機の構造>

ウォーム減速機は主に以下の部品で構成されています

ウォーム

ねじのような形状をした軸で、入力側からの動力をウォームホイールに伝達します。

ウォームホイール

円形の歯車で、ウォームからの動力を受け取り、出力軸に伝えます。

ハウジング

ウォームとウォームホイールを保護するケースで、潤滑油を保持し、熱を放散する役割も果たします。


<特長>

自己ロック機能
特定の条件下では、ウォームホイール側からウォームを回転させることができない構造になり、逆転防止や安全性が求められる場面で有効です。
高い減速比
一段で大きな減速比を得ることができ、コンパクトな設計が可能です。
滑らかな動作
歯車が滑るように動作するため、振動や騒音が少ないのが特徴です。

波動歯車減速機

波動歯車減速機は、金属の弾性を利用して高精度な動力伝達を行う特殊な減速機です。楕円形のウエーブジェネレータ(波動発生器)の回転によって駆動します。薄肉カップ状の金属弾性体が、内周に歯が刻まれている剛体リング状の部品とかみ合って回転します。


<波動減速機の構造>
波動歯車減速機は主に以下の3つの要素で構成されています

フレクスプライン

柔軟性のある薄い歯車で、楕円形に変形しながら動力を伝達します

サーキュラースプライン

剛性のある固定歯車で、フレクスプラインと噛み合います。通常、フレクスプラインよりも歯の数がわずかに多いです

ウェーブジェネレータ

楕円形のカムやローラーで、フレクスプラインを変形させる役割を持ちます。この変形が動力伝達を実現します。


<動作原理>

波動歯車減速機の動作は以下のように進行します
  1. ウェーブジェネレータが回転すると、フレクスプラインが楕円形に変形します。
  2. フレクスプラインの歯がサーキュラースプラインと部分的に噛み合います。
  3. フレクスプラインとサーキュラースプラインの歯数差に基づいて出力軸が回転し、高い減速比が得られます。

サイクロイド減速機

サイクロイド減速機は、サイクロイド歯型と呼ばれる特殊な形状の歯車を利用した減速機です。


<サイクロイド減速機の構造>

サイクロイド減速機は以下の主要な部品で構成されています

入力軸

動力源(モーターなど)から動力を受け取る軸です

エキセントリックカム(偏心カム)

サイクロイドディスクを偏心させて回転運動を伝える部品です。

サイクロイドディスク

サイクロイド曲線に基づいて設計された歯型を持つディスクで、減速比を決定する中心的な部品です。

ローラー(ピンホイール)

サイクロイドディスクと噛み合い、スムーズな動力伝達を実現します。

出力シャフト

動力を目的の機械や装置に伝える部分です。


<動作原理>

サイクロイド減速機の動作は以下のように進行します
  1. 入力軸に取り付けられたエキセントリックカムが回転し、サイクロイドディスクを偏心運動させます。
  2. サイクロイドディスクが固定されたローラーと噛み合いながら回転運動を減速して伝達します。
  3. 最終的に、減速された動力が出力シャフトに伝えられます。